今回は、「偏差値の上がる話」を読んでくれている数少ない方(!)のために、偏差値を上げるノートの作り方を夏期限定でご紹介します。これをきちんと実践すれば、この夏で偏差値を10上げることも決して夢ではありません。
といっても、授業ノートの書き方や使い方をああしろとかこうしろとかという話ではなく、ある種のノートを作りなさいというすごく単純な話です。今日この記事を読めた人はかなりラッキーだと思います(とっても重要なノウハウをひとつ挟み込んでいます)。
では、その偏差値を上げるノートとは、一体、、、
偏差値を上げるノートとは、ずばり「間違いノート」です。もしかしたら聞いたことはあるかもしれませんが、実践している人は少ないと思います。多くの受験生は新しいことを覚え(そして次々に忘れていく)ことに忙しく、過去の失敗から学ぼうとしません。失敗、つまり間違いこそ、記憶を脳に定着させる契機となるのです。
この間の事情を、脳機能学者の苫米地英人さんは次のように説明しています。脳の記憶特性のひとつは、「知っていることは覚えない」というもの。だから、覚えたいものがあったら、「これは知らなかったんだ」と脳に思わせればよいことになる。でも、具体的にどうすればいいのか?ここで、「脳は失敗したときにモノを覚える」という脳の記憶特性を利用するわけです。人工知能用語では「エクスペクテーション・フェーリア(=期待外れ)」というそうですが、期待とは違ったことが起きたとき、つまり失敗したときに、脳はそれを重要だと認識するのです。
例えば、仕事でなにかトラブルが起きたとき、必ずどこかに失敗があり、必ずどこかに期待外れ(思惑違い)があります。そして、私たちが仕事をもっとも正確に、そして実用的に覚えるというのはトラブルが起きたときです。トラブルによって、自分の間違いと本当に覚えるべきことを覚えていくわけです。「失敗は成功の元」というのは、脳機能の仕組みを言い表した言葉でもあったのです。まさに「失敗は記憶の元」です。(『脳を鍛える「超」記憶法』、55頁)
ことほどさように失敗=間違いは重要なのです。別の角度からいえば、人間の脳は、感情を伴った情報をそうでない情報よりもよく記憶する特性があります。失敗をすると悔しく思ったり、恥ずかしく思ったりするわけですが、その感情が記憶を強化するわけです。「間違いノート」の趣旨は、失敗した=間違えた経験を記録し、それを絶えず振り返ることで、失敗体験を最大限に活かそうということです。
それから、もうひとつ。「偏差値の上がる話」を読んでくれている方はご存知の通り、受験勉強は、@受験する大学が要求する知識を理解し記憶することと、Aその記憶を管理することのふたつが必要です。偏差値が上がらなくて悩んでいる方のほとんどが、A記憶の管理ができていない。多くの受験生は新しいことを覚えることに忙しく、過去の間違いを放置しています。だから同じ間違いを繰り返してしまう。失敗体験も振り返ることをしなければ、やがて忘れ去られていきます。その意味でも、「間違いノート」を作ることに意義があることがわかりますね。
「間違いノート」の重要性がわかったら、今日から早速作っていきましょう。ノートの条件は、@どこにでも持ち歩いて、さっと開いて読むことができるような、ポケットサイズの小さいノートであること、A愛着のわくデザインであることのふたつです。
ちなみに、ぼくの「間違いノート」はトラベラーズノートのパスポートサイズです。


手帳も兼ねているのでちょっと分厚いのですが、中に「間違いノート」(といっても、ぼくの場合は「リマインダー・ノート」ですが。受験生ではないので、間違えたことというより覚えたいことのメモ書き)を入れて、絶えず読み返しています。ノートにペンも挟んでおくと、いつでもどこでも間違いを記録できます。
ノートのレイアウトはお任せしますが、例えば「△△を、××と間違えてしまったが、正しくは○○である」という形で、正解だけでなく自分の間違い(××)もしっかり記録してください。一見無駄に思えるこの作業が、実は非常に大切。自分の間違いを記録することで、失敗に伴う感情を喚起できるからです。それから、「間違いノート」は科目別にせず、ひとつのノートにあらゆる科目の間違いを集約します。科目別にしてしまうと、何冊ものノートを持ち歩くはめになって携帯性が著しく低減してしまうからです。
過去の模試、定期テスト、その日やった問題集、とにかく自分が間違えたことを「間違いノート」に記録しましょう。そして、空き時間、移動時間、待ち時間、寝る前の時間、とにかくスキマ時間を見つけて「間違いノート」を読み返す。非常にシンプルな方法ですが、非常に効果的です。これがしっかりできれば、あなたの偏差値は確実にアップします。
とにかく、この夏休みが正念場。がんばって勉強したことを無駄にしないように、「間違いノート」しっかり作りましょう。