今日は英熟語の記憶法について書いてみたいと思います。
大学受験生は英単語を覚えるのがたいへんで、英熟語まで手が回らないという方も多いのではないでしょうか。そこで、今回は英熟語学習を加速する秘訣をご紹介してみたいと思います。句動詞に的をしぼってお話ししましょう。句動詞とは、簡単に言って、動詞と前置詞/副詞がセットになって意味を作る英熟語のことです。「look at 〜」みたいな。
実は、これには秘密があるのです。
その秘密とは、、、
英熟語(句動詞)の秘密
句動詞型の英熟語の秘密、それは、後ろに続く形が同じ句動詞はだいたい同じ意味になる、ということです。具体例を挙げたほうがわかりやすいので、早速一題やってみましょうか。
問題1 次の英文を訳してみてください。
The new position invested her with a good deal of responsibility.
どうでしょう?訳せましたか?
まさか、こんなふうに訳してませんよね?「新しい地位が、多くの責任とともに彼女に投資した」。これでは、意味不明。
たしかに、investとは「投資する」という動詞として辞書に載っています。でも、この文のinvestは、「投資する」という意味にはなりません。
なぜか?
実は、investを知らなくてもこの文は訳せるのです。
どういうことか?
つまり、動詞の後ろに「A with B」という形を取る句動詞は、おおむね「AにBを与える」という意味になるのです。句動詞の意味を考えるときは、前置詞のイメージが大切。withは「二つのものが出合って一緒に行く」というイメージです。ですから、「A with B」は「AにBが合流する」感じになります。だから、この型の句動詞は「AにBを与える」という意味になるのです(このときのwithを「供給のwith」といいます)。
このパターンには、例えば、
provide A with B(AにBを与える)
supply A with B(AにBを与える)
leave A with B(AにBを任せる、預ける)
reward A with B(AにBで報いる)
などなど、たくさんありますね。
よって、問題1の正解は、「新しい地位は彼女に多大な責任を与えた」(直訳)となります。つまり、「新しい地位について、彼女は多大な責任を抱えることになった」という意味であると理解できます。
ということは、investの意味を知らなくても、このパターンさえ知っていれば訳せるということになりますね。これが句動詞をパターンで覚える最大のメリットです。長文中で知らない句動詞に出会っても、パターンさえ知っていれば、なんとか訳せるんですよ。
ちなみに、「V + A with B」には、「AをBと結びつける」という意味もあります。上で説明したように「A with B」は「AにBが合流する」感じなので、「AをBと結びつける」という意味にもなります。
例えば、
combine A with B(AをBと結びつける)
associate A with B(AをBと結びつけて考える、AでBを思い出す)
compare A with B(AをBと比較する)
などなど。
では、次の問題にいってみましょう。
問題2 次の英文を訳してみてください。
He invests a lot of money in stocks.
どうでしょうか?
今度は、「彼は多額の金を株に投資している」でOKです。
なぜなら、「V + A in B」というパターンは「AをBの中にを入れる」という意味になることが多いからです(inのイメージを思い出してください)。つまり、「多額の金を株の中に入れる→投資する」というわけです。
もちろん、こうしたパターンには例外があります。すべての法則には例外がつきもの(←という法則にも例外があるはず)。でも、例外があるからといって、多くの場合に当てはまるパターンを捨ててしまうのはあまりにもったいないですね。
まとめましょう。
句動詞型の英熟語をパターンで覚えるメリット
句動詞型の英熟語をパターンで覚えるメリットは次の2つです。1.記憶しやすい
2.長文中で未知の句動詞に出会っても、パターンを覚えていれば意味が類推できる
つまり、句動詞はパターンで覚えるのが吉。具体的には、
1.まずパターン(動詞の後ろに続く形とそれに対応する意味)を理解する(このとき、前置詞や副詞のイメージに注意すること)
2.そのうえで、個々のイディオムを覚える(必ず例文で)
という手順でやってみてください。例えば、まず「V + A with B = AにBを与える/AをBと結びつける」という句動詞のパターンを理解し覚えます。そのうえで、個々の熟語を例文で確認していきましょう。
こうやってまとめて覚えたほうが、ひとつひとつばらばらに覚えるよりも記憶しやすいのです。これを記憶術では「組織化(Organization)」と言います。
次回は、句動詞のパターンをいくつか紹介してみます。