今回は古文の偏差値を上げる話の第三回、「助動詞の接続の覚え方」をご紹介します。
■助動詞の接続とは
助動詞の接続とは何かというと、簡単に言って、その助動詞の上にくる活用語が何形になるかということです。例えば、打消しの助動詞の上にくる語は必ず未然形です。「咲かず」と言った場合、「ず」に接続する「咲か」は、サ行四段の未然形ですよね。だから、「ず」は「未然形接続」となります。
そもそもなぜこんなものを覚えなければいけないかという話は学校の先生にお任せして、ここでは「覚え方」に話を絞ります。
まず下のリストを見てください。
未然形接続:る・らる・す・さす・しむ・ず・じ・む・むず・まし・まほし
連用形接続:き・けり・つ・ぬ・たり(完了)・たし・けむ
終止形接続:べし・らし・まじ・らむ・めり・なり(伝聞・推定)
連体形・体言に接続:なり(断定)、たり(断定)、ごとし
サ変の未然、四段の已然:り
これを覚えなきゃいけないわけです。
あなたならどう覚えますか?
ぼくなら、頭文字記憶術を使って覚えます。
■頭文字記憶術
頭文字記憶術とは、覚えたいものの頭文字を使ってひとつの単語・フレーズ・文を作って覚える記憶術です。英語ではAcronymsと言いますね。例えば、五大湖(Huron,Ontario,Michigan,Erie,Superior)の頭文字をとって、HOMESと覚えるんです。たんにHOMESと覚えてもいいですが、これにイメージをつけるとよりいっそう覚えやすくなります。例えば、たくさんの家(HOMES)が湖に沈んでいく様子をイメージするといいですね。
■助動詞の接続を覚える
では、これを助動詞の接続にあてはめてみます。
まず、未然形接続。
未然形接続:る・らる・す・さす・しむ・ず・じ・む・むず・まし・まほし
・覚え方
むずむずするじんましん、さすって、ラリ(=「らる」)って、死な(=「しむ」)まほし。
何回か唱えながら、情景をイメージしてみてください。じんましんのかゆみを少しでも忘れるためにシンナーを吸ってラリったけど、もやっぱりかゆくてしょうがないからもう死にたい…でどうすか?
じゃ、次は連用形接続。
連用形接続:き・けり・つ・ぬ・たり(完了)・たし・けむ
・覚え方
けりつきたりぬ!
これは有名。「けりがついた」でもいいし、誰かにおしりを蹴られる様子をイメージしてもOK。
どんどんいきます、終止形接続。
終止形接続:べし・らし・まじ・らむ・めり・なり(伝聞・推定)
・覚え方
豆並べ!
これも有名です。豆に並べと命令して、豆がしおらしく一列に並ぶ様子をイメージしてください。
連体形・体言にいきます。
連体形・体言に接続:なり(断定)、たり(断定)、ごとし
これに関しては、「なり」さえ覚えておけば事足ります。「たり」や「ごとし」はまず出ませんから。ですので、
身なりはダンディー
と覚えましょう。
最後は特殊な接続。
サ変の未然、四段の已然:り
・覚え方
さみしいリカちゃん
これも超有名ですね。彼氏に二股かけられたうえに振られ、ひとりでさみしく赤坂のバーで自棄酒を飲んで泣いているリカちゃんです。昼ドラ。
ことほどさように便利な頭文字記憶術ですが、ストーリーをつけてイメージすることがコツです。古文の接続以外にも(なにかのリストを覚えるときとか)使える記憶法なので、マスターしておいて損はないです。
というわけで、頭文字記憶術による、助動詞の接続の覚え方でした。