現代文の偏差値を上げる話(2):スキーマの増やし方とおすすめ参考書

2011年05月24日

現代文の偏差値を上げる話(2):スキーマの増やし方とおすすめ参考書


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現代文偏差値上げる話第二回は、スキーマの重要性について。前回は「読解法だけじゃ読めないよ!」という話でしたが、今回はこの話をもっと深く掘り下げてみようと思います。

現代文偏差値上げるには、スキーマを増やす必要があります。ぼくが現代文の五割は暗記だという一見「暴論」を展開している理由も、実はここにあります。

では、スキーマとはいったい何なのか?

まず、次の文章を読んでみてください。

タクヤは窓口に2400円を出した。シズカは1200円を渡そうとしたが、彼は受け取らなかった。中でまず席をとると、シズカはジュースを2つ買ってきて1つを彼に渡した。彼は、喜んでそれを受け取った。(市川伸一『勉強法が変わる本 心理学からのアドバイス』、岩波ジュニア新書)


さて、読んだら次の問題に答えてみてください。

1.窓口とは、何の窓口か。
2.なぜ、タクヤは、シズカが差し出した1200円を受け取らなかったのか。
3.なぜ、まず席を取ったのか。
4.なぜ、シズカはジュースを2つ買ったのか。

わかりますか?


では、解答例を。

1.映画館(別解:劇場)
2.タクヤはシズカに入場料をおごろうとしたから。
3.遅れると良い席が取れなくなるから。
4.入場料を払ってくれたお礼をしたかったから。

まあ、こんなもんでしょう。あくまで例ですよ。

デートの経験が豊富な方はすんなりわかったかもしれませんね。あるいは、テレビや小説でこういうシーンに出会ったことのある人も。逆に、受験勉強でデートどころじゃない人には、もしかしたら何のことやらわからなかったかもしれない。映画館でのデートのお話だったのです。

この例を通して要するに何が言いたいかというと、背景知識のあるとないのとでは、文章の理解に大きな差が出るということです。

もうひとつ例をあげましょうか?これは絶対わかるはずです。石原千秋先生の『大学受験のための小説講義』(ちくま新書)から。

朝9時に起きると、僕は歯を磨いてから朝食を取って、急いで玄関を出た。


これはすんなりわかったでしょう?だって、あなたが毎日やっていることですから。その意味で、背景知識は十分にあるわけです。

こういう背景知識を理解の枠組みにして私たちは文章を読んでいるわけです。先の例では、映画館とはどんなところだとか、一般的にデートでは男は女にどのようにふるまうのかとか。また、寝坊してしまった朝私たちはどのようにふるまうかとかね。

背景知識を使って文章を補って読んでいるわけです。実は、文章というのは隙間だらけです。二つめの例で言えば、この文には「着替えた」とはひと言も書いてないでしょう?だけど、まさかパジャマ姿のまま学校に行ったなんて思いませんよね。わたしたちは「着替えをしてから学校に行く」という背景知識をもっているので、それを無意識に補って読んでいるんです。

スキーマとは何か?

このような背景知識を認知心理学では「スキーマ」といいます。「認知構造の枠組み」くらいの意味なんですけど、要するに、背景知識のことです。

このスキーマを多くもっているほど、文章の理解は容易に、そして速くなります。現代文の場合、それは、

1.語彙
2.背景知識

この2つが主なスキーマとなりますね。

ですから、現代文の成績を上げるには、語彙と背景知識を増やすことが大切です。

たまに「心を白紙にして読みなさい」っておっしゃる先生がいますが、とんでもない間違い。先入観というと聞こえが悪いですが、スキーマというある種の先入主がなければ、私たちは文章の理解はおろか、文字を認識することさえできません

おそらく「心が白紙」に近い状態だと思われる赤ん坊に、入試現代文の評論が読めわけありません。それに、生まれて17、8年の経験を積んで、あの頃の純粋な心は澱み、曇り、そして擦れてしまったあなたがいまさら「心を白紙に」なんてできるわけがありません(失礼な話ですが)。いや、澱んで曇って擦れてしまったからこそ、評論家や学者などというひねくれ者の書いた文章も理解できるもの。

話が微妙にそれているんですが、ぼくが言いたいことは、要するに、スキーマが貧弱だと現代評論(小説も)など読めはしないし、読めたとしても理解はおぼつかないということです。そして、入試現代文が要求してくるスキーマは大学の教養課程レベルですから、現代文偏差値上げるには、言語論、近現代哲学、文芸論など入試頻出のテーマについて、なにがしかの知識が必要になってきます。

スキーマの増やし方

では、どうやってスキーマを増やすか。

1.漢字練習帳を利用する(意味が載っているものを使う)
2.キーワード集を使う
3.問題文の意味調べをする

漢字練習帳のお勧めは、出口汪『大学入試受かる漢字・用語パピルス1467』(学研)。やるならこれ1冊で十分でしょう。

キーワード集は、浅野直樹・榎吉郁夫『現代文 キーワード読解』(Z会出版)という非常にすぐれた参考書があったのですが、残念ながらもう絶版みたいですね。古本屋で見つけたら絶対にゲットしておいてください。とてもいい本です。キーワード集ではありませんが、石原千秋先生の『教養としての大学受験国語』(ちくま新書)もスキーマを増やすのに非常に役に立ちます。あるいは、ややレベルは下がりますが、河合塾の『ことばはちからダ!現代文キーワード―入試現代文最重要キーワード20』もよい本だと思います。

やり方は、暇な時間に3回ほど通読してください。最終的に、頻出キーワードの意味がいえればベスト。小論文が必要な人は、ネタとして使えそうな文章やテーマを覚えておくと吉。

最後に、意味調べ。基本的なことですけどちゃんとやりましょう。経験から言って、傍線部の言葉の意味がわからないために解けない問題ってたくさんあります。

現代文を得点源にしたい人、これ絶対やってくださいね(くり返しますが、得点源にしたくない人はやらなくていいです。他の科目を勉強してください)。


posted by 大学偏差値情報局 at 04:03 | TrackBack(0) | 偏差値の上がる話:大学受験勉強法
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