今回は、大学別生涯給料ランキング(2009)を『週刊東洋経済』の記事からご紹介します。
ランキングは、卒業生の主な就職先企業の生涯給料を、企業の平均年収や厚生労働省が発表している賃金構造基本統計調査などを使って推計し、それを就職人数で掛け合わせ、加重平均して算出したものものです。
大学別生涯給料ランキング(2009)
※数値は、生涯給料(万円)、30歳推計年収の順。1位 神戸女学院大学 34,779万円 702万円
2位 聖心女子大学 34,112万円 695万円
3位 一橋大学 33,789万円 699万円
4位 白百合女子大学 32,964万円 665万円
5位 東洋英和女学院大学 32,938万円 673万円
6位 東京女子大学 32,900万円 667万円
7位 清泉女子大学 32,818万円 671万円
8位 慶応義塾大学 32,599万円 673万円
9位 甲南女子大学 32,448万円 653万円
10位 学習院女子大学 32,371万円 668万円
11位 フェリス女学院大学 32,112万円 656万円
12位 東京大学 31,929万円 662万円
13位 神戸松蔭女子学院大学 31,867万円 652万円
14位 学習院大学 31,784万円 656万円
15位 共立女子大学 31,778万円 654万円
16位 日本女子大学 31,600万円 653万円
17位 同志社女子大学 31,577万円 650万円
18位 国際基督教大学 31,395万円 660万円
19位 成城大学 31,261万円 643万円
20位 南山大学 31,253万円 646万円
出典)週刊東洋経済2009.10.24
女子大が多いことに驚き。ランキングの20位中13校が、10位中なら8校までもが女子大です。実際、記事によると1位の神戸女学院大学や2位の聖心女子大学は、生涯給料が高い金融系企業への就職が非常に多かったそうです。「女子大が大健闘した結果」と記事は評価しています。
本当かね。
この結果を見て、お金持ちになりたいから女子大に行こう!って思った方は少しナイーブ。ランキングは、「卒業生の主な就職先企業の生涯給料を、企業の平均年収や厚生労働省が発表している賃金構造基本統計調査」などを使って推計したとあります。女子大の場合、この「卒業生」はいうまでもなく女子です。しかし、彼女らの「主な就職先企業の生涯給料」には、もちろん男子の生涯給料も入っています。というか、ほとんどの企業では、女子社員よりも男性社員の方が多いでしょう。さらに、日本の企業の会社内における地位・所得に、ジェンダー格差があるのは、悲しいかな事実です(わたしたちがニュースでよく見るように、謝罪会見であたまを下げる「おえらいさん」はほとんど男)。したがって、女子大生の「主な就職先企業の生涯給料」の半分以上は、企業を牛耳っている男たちが稼ぎ出したもののはず。「寿退社」する女子社員を考慮に入れたら、下手をすると「企業の生涯給料」の大半は男性社員によって稼ぎ出されているのかもしれない。
というわけで、このランキングを鵜呑みにはできませんと思います(だったら紹介するな)。ちょっと意地悪に聞こえるかもしれませんが、これを言っておかないと「生涯給料」の男女格差を隠蔽することになってしまうので。