最初に注意しておかなければならないことは、、、復習は最初の学習から1ヶ月以内に行わないと効果がありません。どうやら海馬に記憶が保存されている期間は、長くても1ヶ月のようです。ですから、1ヶ月以上空けてしまうと最初の学習が無駄になってしまうので気をつけてくださいね。
では、具体的にどんなタイミングで復習していったらいいか?
偏差値の上がる復習のやり方
『記憶力を強くする』で有名な池谷裕二さんは、エビングハウスの実験から、次のようなスケジュールにそって復習することを提案されています。1.1週間後に1回目
2.1回目の2週間後に2回目
3.2回目の1ヶ月後に3回目
このように、最初の学習を入れて、2ヶ月間で4回くり返すのが、科学的にもっとも効率の良い復習法なのだそうです(池谷裕二『記憶力を強くする』講談社、208頁)。そこで、数年前のことになりますが、生徒を使って実験しました(←生徒を実験台にするな)。まず生徒に初めて見る英単語を覚えてもらって、一週間後の授業で確認テストをします。確認テストの後、間違っていたものは覚えなおしてもらいます。
が、テストとテストの間は復習禁止です(どうせほうっておいても勉強しない愛すべき生徒たち)。こんな感じで、上の復習のスケジュールにそって、2ヶ月で計3回のテストを行ってみました。
その結果は、、、かなり微妙でした。厳密にデータを採ったわけではありませんし、生徒によって結果はまちまちでしたが、3回目のテストでも結構忘れている人が続出。なかには10%くらいしか覚えていない生徒も。
ぼくの経験から言って、授業である対象を理解させ覚えさせたとしても、ほとんどの生徒は1週間後の次の授業までには、洗いざらい忘れています。一度で覚えてくれる生徒なんてそういません。ぼくの印象だと、二度目、三度目で覚えてくれる生徒は超優秀です。でも、そんなナチュラルに頭のいい人なんてめったにいないですし、天才でなくも、勉強法次第で偏差値を上げることは十分可能です。
さて、では、上に書いた記憶テストの成績が悪かった生徒の何が悪かったのでしょうか?
1.復習のタイミングと回数
2.復習のやり方
3.講師の教え方
考えられる理由はこの3つ。
結論から言いましょう。
1回目の復習は、最初の学習の直後にやってもらわないと効果がないようです。学習直後に復習した方が、結局楽です。1週間後に復習しても半分以上忘れているし、何より覚えなおすのにストレスがかかります。せっかく覚えたのに、こんなに忘れてると思うと、勉強なんて嫌になりますね。これが一番怖い。
ぼくが提案する復習プランは、一回目の学習からできるだけ早いうちにくり返すことです。できれば最初の学習の直後に復習することをお勧めします。
具体的に言いましょう。
1.最初の学習から10分後に一回目の復習を行う
2.次の日に2回目の復習を行う
3.その一週間後に3回目
4.その一ヵ月後に4回目
こんな感じで復習すると、楽に効率よく身につきます。これは、マインドマップの開発者として有名な教育研究家トニー・ブザンのプラン(トニー・ブザン『頭が良くなる本』東京図書)のプランです。
こう言われると、次のように反論する人もいるかもしれません。10分後に復習することは意味があるのか、なぜなら学習直後なら誰だって学習した内容をほとんど覚えているはずだから。
たしかに、おっしゃる通り。10分後に復習したらほとんどの内容は覚えているでしょうね。普通、復習というと、学習した内容を忘れてから、あるいは忘れかけたころにするものだと考えられています。もちろんそのやり方が効果的でないと言っているのではありません。
あれ?何だったっけ??……(考え中)
↓
答えを見る
↓
そうだった!
この時の「そうだった!」という感情が記憶を強化するからです。脳の構造から言って、感情を伴った記憶は忘れにくいですからね。
ただ、このやり方には弱点があります。
@忘れている、あるいは忘れかけているので、想起に時間がかかる点
Aなかなか思い出せないことが復習に対するストレスを生みやすい点
やってみるとわかると思いますが、忘れたころに復習するのは結構しんどい作業です。特に1週間〜1ヶ月以上経ってすっかり忘れてしまったときには。覚えなおすのにも最初の学習と同じくらいの時間がかかります。このやり方は時間がかかって効率が悪いし、思い出せないとイライラしてしまいます。
だったら、覚えた直後に復習したほうがずっと楽なんですよ。だって覚えているんですから。
覚えた直後にくり返す方法は、
@想起に時間がかからない
A比較的簡単に思い出せるため、ストレスがかからない
という利点があるんです。
でも、それって効果あるのか?といぶかる人もいるかもしれません。はい、あります。
その理由はまた次回に。